私は、2009年の1月~6月まで「自家感作性皮膚炎」という皮膚病を患いました。
自家感作性皮膚炎は、全身性の非常に強いかゆみが長期に渡って続くとても辛い皮膚病です。
私は約半年もの長いあいだ強烈なかゆみとひどい湿疹に悩まされ、心身ともに大きなダメージを被りました。
この記事は、私が自家感作性皮膚炎を発症してから治るまでの経緯を詳細に記した体験談です。
ぜひ参考にしていただけたらと思います。
この記事は、自家感作性皮膚炎が完治した後の2010年に書いたものですが、当時と現在(2018年)では私自身の治療に対する考えが変わっている部分もあり、中には他の記事と矛盾する点が出てきます。
その箇所には注釈をつけておりますので、そちらも合わせて読んでいただけると幸いです。
Contents
きっかけはアトピー性皮膚炎の悪化だった

2009年の1月~6月まで、私はこの皮膚炎を患いました。
最初は左足のスネに出たアトピーの湿疹でした。
3センチ四方くらいの小範囲のアトピーで、体質的にアトピーの気がある私は体調を崩したり寝不足が続いたりすると、たまにこうしたアトピーが出ます。
大抵は、その範囲から大して広がらず、非ステロイド系(ステロイドではない)の塗り薬をぬって1週間もすれば自然に消えていくのですが、この時はいつまで経っても湿疹が引かず、どんどんアトピーの範囲が広がって行きました。
とにかく痒くて痒くて、掻き毟っていたら、そのうち左足全体に湿疹が広がり、足は真っ赤に膨れ上がれ、湿疹の盛り上がった先端が破れ、膿みが出てくるようになりました。
いわゆる「浸出液」というものです。
そのうち、ちょっと引っ掻いただけでも浸出液が出てくるようになり、
足は膿みだらけで、ジーパンも履けなくなりました。
でも仕事中はジーパンを履かなくてはならないので、ジーパンの中に綿100%のレギンスを履いていました。
夕方レギンスを脱ぐと、乾いた浸出液がパリパリに張り付いているため、またその刺激で皮膚が破れ膿みが出てくる、といった感じで、この時の足の状態は本当に見るに耐えないものでした。
そこまで酷い状態でも、痒くて痒くてたまらないのです。
我慢して我慢して、それでも耐えられなくて、泣きながらガーっと掻くんですが、それで余計に状態が悪化し、足は血だらけ膿みだらけ。
だけど、あの痒みを我慢するなんて絶対に無理なんですよ。
あれだけはホント経験した人にしか分からないと思います。
一番酷かった時期は本当に24時間耐え難い痒みが続くんですから。
頭の中は一日中この湿疹のことを考えていました。
しかし、こんなのはまだ序の口だったんです。
湿疹が徐々に広がり始める
2月に入ると、今度は右足にもポツポツと湿疹が出始めました。
ものすごくショックでした…。
左足は相変わらず酷い状態で一向に良くなってくる兆しも見えず。
それが、今まで何ともなかった右足にまで出てきたのです。
やっぱりとても痒いのですが、「左足と同じように掻いてしまったらこの右足の運命も同じ……」と青ざめ、右足だけはどんなに痒くても掻くのを我慢しました。
お風呂に入ったり夜布団に入ったりして体が温まると、余計に酷い痒みが襲ってくるのですが、必死で掻くのを我慢しました。
しかし、湿疹は無情にもどんどん増え続け、とうとう左足と同じように膝から下全体に広がってしまいました。
ただ、掻いていないので化膿はしていませんでした。
でも、ある時もうどうにもこうにも我慢できなくて、とうとう掻いてしまうんですけどね^^;
掻いたあとって、本当にス~ッキリするんですが、掻いた痕を見て泣きたい気分になります……。
とうとう皮膚科を受診|誤診から自家感作性皮膚炎と診断されるまで
とうとう業を煮やし、重い腰を上げて皮膚科を受診しました。
一軒目の皮膚科では原因不明ということで、「たぶんアトピーが悪化したんだろう」との話でした。
抗生剤(服用)とステロイド(湿布用)と抗アレルギー剤が処方されました。
私はもともと薬に対して偏見が強く、薬はカラダにとても悪いもの、というイメージがありました。
中でも抗生物質やステロイドといったものにはひどく抵抗があったため、この時処方された抗生剤とステロイドも最初は拒否する気持ちが強かったんです。
でも、とにかく一番化膿の酷い左足を何とかしなければ……という思いと、周りからの助言もあり、しぶしぶ抗生剤を飲み始めステロイドも左足だけ塗りました。
ステロイドを塗ると、2~3日で炎症はすぐに治まりました。
赤みが引いて滲出液も出なくなりました。
痒みもすこしマシになりました。
しかし湿疹はその後も衰えることなく、今度は両腕、両腿、お腹、背中と、全身に広がっていったのです。
「多形滲出性紅斑」と診断される
それから、職場の人の勧めで、皮膚科を2軒受診しました。
一軒目では「多形滲出性紅斑」と診断されました。
とにかく湿疹の勢いが強過ぎるので抑えないと…と、ステロイドの内服薬と、かなり強めのステロイド塗り薬を処方されました。
でも、家に帰ってから自分で調べて、自分の湿疹はどうやら多形滲出性紅斑というものとは違う……と思いました。
とうとう自家感作性皮膚炎の診断がくだる
そして2軒目。
ここで初めて「自家感作性皮膚炎」という診断がくだりました。
皮膚科の先生も、分厚い医療誌をめくりながら、「おそらくこの自家感作性皮膚炎というものだと思います」というような感じでした。
先生のその様子を見て、あぁ、自家感作性皮膚炎というのはとても珍しい皮膚病なんだな…と思ったのを憶えています。
とは言え、結局ここでもステロイドの内服薬と塗り薬が出るだけでした。
家に帰って、ふたたび自分なりに調べてみると、自家感作性皮膚炎というのはまさに私の症状そのもの。
これだ!と強く確信しました。
ステロイドについて

3軒も皮膚科に通っておかげで、手元には薬がたくさん。
その中から、ちゃんと自家感作性皮膚炎と診断してくれた皮膚科の薬を服用しました。
ステロイドの内服薬はかなり効きました。
ステロイド軟こうも湿疹の状態を見事に改善してくれたし、内服薬を飲み始めてしばらくしてから、あれだけ酷かった痒みにほとんど悩まされなくなったのです。
このまますんなり治癒してくれれば良かったんですが、実際はそう簡単には行きませんでした。
ネットで調べると「原発疹治療後、散布疹は自然消失する」と書いてあるのがほとんどなのですが、そんなのは嘘っぱちです。
自分がこの皮膚炎になって、それこそ血眼になって「自家感作性皮膚炎」のことを調べましたが、一番信憑性があったのは、やはり体験者の人の生の声です。
つまり、個人のブログですね。
珍しい病気なのか、体験談は非常に少ないのですが、そこに書かれていたことは、ほぼ自分の症状と一致します。
そんなに簡単に「自然消滅」なんてしません。
だいたいの方が、治癒までに4ヶ月~半年くらい掛かっているんです。
ステロイドでは自家感作性皮膚炎を根本から治せない
この病気で皮膚科に行くとまず間違いなくステロイドが処方されます。
ステロイドは湿疹自体や出来てしまった傷には驚くほどの効果がありますが、この自家感作性皮膚炎自体を治してはくれません。
良くなったと思ってステロイドを塗るのをやめると、また体に中に押し込まれていた湿疹の元が、体の外に出てきます。
ステロイドでは完治しないんです。
そんな中おそらく、患者さんたちは徐々にこの治療方に疑問を持ち始め、その皮膚科から足が遠のいていくのではないでしょうか。
なので、医者側からしてみれば、「来なくなった=治癒した」と思うのではないかと。
でも治ってなんかいないんですよ。
何度も言いますが、ステロイドでは自家感作性皮膚炎は治せません。
ただ、皮膚の状態を改善はしてくれます。
かゆみもだいぶマシになります。
特にステロイド内服薬の効果はてきめんでした。
確かに、一時的に皮膚の状態やかゆみが改善されて、辛さから解放されるため、それが助かる場合もあります。
でも、ステロイドの怖いところはその副作用。
私は、自分の母や弟がかなり酷いアトピー持ちで、昔からステロイドを体に塗り込む2人を見ていました。
弟なんて生まれた時からです。
前にも書きましたが、ステロイドがそんなにいい薬なら、どうして母と弟はこんなに何十年も長いことアトピーに苦しまなければならないんでしょう?
治らないんですよ。
ステロイドはその場しのぎにしかなりません。
怖いのは、そのうち耐性が出来てしまうこと。
だんだん効かなくなっていくんですね。
だから、次はもっと強いステロイドを塗るようになり、更にそれも効かなくなれば、もっと強いのを……。
そうして、ステロイド地獄に苦しむ人はたくさんいるようです。
弟もかなりマズいところまで来ていると思います。
ステロイドに対する上記の内容は私の偏見や誤解であることが判明しました。
以下の記事でステロイドについてくわしく書いていますので、ぜひ合わせてご覧ください。
皮膚炎の治癒を目指してもがく日々

家族のそんな姿を見ていたため、私は最初からステロイドを使うのを拒否していました。
しかし、忍耐力だけでこの皮膚炎のかゆみと戦うのは、とてもじゃないけど無理でした…。
ステロイドの内服、塗り薬、それで確かにラクになって夜も寝られるようにもなりました。
だけど、
「一体いつになったらこの皮膚炎は治るんだろう?」
「そもそもちゃんと治るんだろうか?」
「一生ステロイドを塗り続けることになってしまったらどうしよう。」
皮膚炎の苦しみに加え、そんな葛藤に苦しむ毎日でした。
とにかく、体験者ブログの治癒の記録を励みに、なんとか日々を耐えていました。
それらの葛藤はずっと続くわけですが、その中で、ステロイドに反対している皮膚科に行ったり、漢方薬専門の皮膚科に行ったり、やはりステロイドから脱したくて色々あがいていました。
どちらの皮膚科でも同じことを言われました。
とにかく、肉・脂・アルコール・甘い物は×。
ステロイドなんて持ってのほか!
何も塗ってはいけない!
そして、注射を打たれたり、漢方薬を処方されたり、しばらく通い続けましたが、今になって思うのは、どれもそんなに効果は無かったんじゃないか、ということです。
確かに、ステロイド漬けになるよりは体に良かったとは思いますが、その治療法が皮膚炎自体に効くというわけではなく、これらはすべて体の治癒力を高めるためのもの。
あくまで皮膚炎を治すのは、人間に備わった自然治癒力だということです。
この考えには個人的には大賛成でした。
いろいろ西洋医学が発達しても、「まず中心にはこういう考え方がなくてはいけない」と思いますが、でもですね、いかんせんそれは健康な時だから思えること。
皮膚炎の痒み&化膿で死ぬほど苦しい思いをしている私にとっては、そんな悠長なことは言ってられませんでした。
苦しみの中から見出した私なりの対策~使った塗り薬など
皮膚科に何件も通い、ネットや図書館でこの病気について調べ、
あれこれ試行錯誤した中で、そのうち私なりのやり方が出来上がりました。
まず、ステロイドは常用はしない。
掻き過ぎて傷が酷くなってしまったら、その部分にだけ応急処置的に塗ります。
なぜなら、そこがまた病巣になって悪循環になってはいけないと思ったから。
何日も化膿させたままにさせておくのは、とても良くないと思います。
それ以外の時は、非ステロイド系の塗り薬でしのぎます。
私が使っていた市販の非ステロイド薬
私が愛用していたのは、まず「ユースキンI 」。
これは、かゆみを抑える力はちょっと低めですが、テクスチャが伸びやすくて塗りやすいのと、大容量なので心置きなく使える点が気に入っていました。
これは主に、寝る前に全身に塗っていました。
背中、胸、お腹(お腹の痒みはけっこう酷かったので、下のものを塗ることも多かったです)、腕、首、耳など。
これで、夜かゆみで何度も目が覚めることは無くなりました。
次に、同じユースキンの「ユースキン リカA 」。
これはかなり痒みに効きます。
正直、非ステロイドでこれだけ痒みを抑えられるなんて驚きでした。
これは特に炎症の酷い部分や、特にかゆい部分、そして自由に掻いたり出来ない仕事中に、一時的にかゆみを抑えるために使ってました。
スーッという刺激がよかったです。
ただ量が少なく、かゆみが酷い時は3~4日で一本無くなるため、たくさん買い置きしてました。
他に、「ラナケインS 」もけっこう効きました。
リカAはその辺のドラッグストアには売ってなかったため、緊急の時はどのお店にもたいてい置いてあるこちらをよく買ってました。
塗ってすぐに効果が出るというのはうれしいものです。
試行錯誤ののちは、このやり方を完治するまで続けました。
少しずつかゆみと炎症が治まってきた

4月の終わり頃からかゆみがラクになり始め、完全に炎症&かゆみが無くなったのは6月くらいでした。
かゆみに関しては、最後の最後までしつこかったのですが、気付いたらいつの間にか消えていました。
ただ、皮膚の状態はすぐには改善しませんでした。
炎症はもう治っているのですが、傷跡と色素沈着はしばらく消えませんでした。
色素沈着は広範囲にわたって茶褐色のシミになっており、とても見苦しかったです。
顔に出てくるシミのようなものが、体中に散らばっているんですから…。
しかも、顔のシミなら大きくても1~2センチですが、体のシミは10センチ以上のかたまりになっている部分もあり、とても人に見せられたものじゃありません。
長袖で過ごせる季節で本当に良かったです…。
結局、いちばん酷かった左足と、両腕の内側と、お腹の色素沈着は、1年くらい消えずに残っていました。
あと、不思議だったことがあります。
湿疹は自家感作性皮膚炎の原因となった左足から全体に広がったけれど、なぜか胸と顔にだけは湿疹が出なかったんです。
あの醜い湿疹が顔に出ないというのは、まさに不幸中の幸いでした。
もし顔にまで湿疹が広がっていたら、とても人前に出られず引きこもりになっていたと思います。
ただ、湿疹は出なくても皮膚の表面はザラついており、かゆみも多少はありました。
そういえば、頭もちょっとかゆかったです。
そうそう、足も湿疹で腫れて靴が履きづらくて苦労しましたね…。
スニーカーの靴紐をゆるめて履いてました。
左足はビッコを引いてました。
自家感作性皮膚炎は精神的に追い込まれる怖い病気!
たかが皮膚炎でここまで全身にダメージを被るとは思ってもいませんでした。
本当に大変な病気だと思います。
何より、精神がやられます。
眠れないほどの痒みに、発狂するんじゃないかと思ったくらいです。
それほどつらいのに、周りにはあまり理解されないのが悲しかったです。
痛みならともかく、かゆみなんて大したことないって思われてしまうんですよね。
職場の人の理解がなかなか得られず、1ヶ月の休職の際も説得にかなり苦労しました。
あと、かゆみと同じくらい辛かったのが皮膚の状態です。
見た目がとにかく酷いんです。
これに対する精神的ショックは計り知れません。
一応、女性ですからね…。
皮膚炎がたとえ終息したとしても、皮膚の状態は完璧に前の状態に戻るんだろうか?
もし醜い痕が残ってしまったら……?
それが一番怖かったです。
でも、1年ほどで人目にはほとんど気付かれないくらいレベルには改善しました。
1年経過時点では、ジッと目を凝らすと、ああまだ色素沈着が残ってるな~という程度。
あんなに酷かった皮膚が、よくぞここまで治癒してくれたと泣きたいくらいでした。
やっぱり自然治癒力ってすごいです。
そして、あれから9年たった今現在は、湿疹のなごりは一切ありません。
すべてキレイに治りました。

最後に、ステロイドについて思うこと
最後にもう一度、ステロイドについてですが、私自身はステロイド反対派ですが、実際は自分も使いましたし、これについてはどうするのが一番いいとかは言えません。
実際、以前私が読んだブログでは、4ヶ月間ステロイドを塗り続けて治癒したという方もいました。
おそらくですが、ステロイドを使っても使わなくても自家感作性皮膚炎が治癒するまでには数カ月~半年くらいの期間がかかるんだと思います。
そして、ステロイドを使えば、その間の負担はかなり軽減されるのは事実。
ただし、かなり長期間の使用になるため、その間にステロイドが効かなくなり、脱ステでいっそう苦しんだ、という方の記事も目にしました。
私はステロイドはなるべく自分の体に塗りたくなかったので、辛かったですが必要以上に使わないようにしていました。
でも、皮膚科の先生の処方通りに正しく使えば、ステロイドはそんなに怖い薬ではないと思うんですよね。
効かなくなったり副作用が出たりする人は、どうも医師の処方を守らず勝手に使用をやめてしまったり、つけたりやめたりを何度も繰り返したりと、自己流で使っている人が多い印象です。
私もそうなんです。
今となっては、自分はステロイドの使い方を間違っていたのかもしれないと思います。
幸い副作用も耐性もでなかったので良かったんですが、使うのであれば医師の言う通りにちゃんと治るまで使い続けた方がよかったのではないか?と。
ただあの頃はステロイドに対して不信感を抱えていたので、その状態でステロイドを使い続けることが大きな心理的負担だったのです。
自家感作性皮膚炎はとてつもないかゆみで本当に苦しい皮膚炎ですから、中には精神的に参ってしまってうつ病を発症してしまう人もいるようです。
そうならないように、正しい使い方をしっかり守って使用すれば、ステロイドによって湿疹やかゆみなどの症状は圧倒的に楽になり、それほど辛い思いをせずに治癒を迎えられるような気もするんです。
皮膚炎自体に効果のある薬が開発されれば言うことないんですがね…。
ステロイドを使うかどうかは自己判断になりますが、私のように必要以上に忌み嫌うのではなく、長所と短所をしっかり分かったうえで、医師と相談しながら使用していくのがいいと思います。

おわりに
自家感作性皮膚炎は本当に辛い病気です。
これまで、いろんな感染症にかかったことがありますし、手術(帝王切開)も受けたことがありますが、それらの中でもダントツに辛かったです。
24時間続くあの強烈なかゆみは本当に耐えがたく、これがいつまで続くのかも分からない不安の中、毎日泣きたい気持ちで過ごしていました。
体中に広がる湿疹はとても見苦しく、女性としては心底辛かったです。
ただ、今わたしは完全に治癒し、以前と変わらぬ毎日を過ごすことができています。
自家感作性皮膚炎は時間はかかりますが、いつか治ります。
今、この皮膚炎で苦しんでいる方も、治癒を信じてなんとかがんばって欲しいと思います。
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